第3内科での後期研修

specialityもgeneralityも
~志高く両立を目指して~

前述してきたように私たち第3内科は腎臓内科、糖尿病・内分泌内科、膠原病内科を担当としており、メンバーそれぞれがいずれかの分野で臨床や研究活動を通じてスペシャリストになることを目指しています。しかし私たちは○○内科医である前にまず一人の内科医として内科のどの範囲・分野も最低限の知識や技能を身に着けていたいと考えています。

①特定分野に特化し高い知識・技能・経験を有するスペシャリスト、②ポリバレントなユーティリティを発揮しどんなセッティングでもどんな問題にでも柔軟に臨機応変にまんべんなく及第点の対処ができるジェネラリスト。今までは二項対立、究極の選択などとして語られがちだった両者ですが、最近ではこの両者どちらかの選択ではなくその融合の先に未来があるのではという考え方が時代や社会の要請を背景に少しずつ潮流となってきているように感じます。

第3内科はそもそもの守備範囲が腎、糖尿病・内分泌、膠原病と守備範囲が広く、まさにポリバレントであることを要請されている内科医集団です。さらに自らの守備範囲でなくても例えばIBD・膵炎・TTP・脱髄疾患・天疱瘡など多様な疾患でのアフェレーシス、不明熱の検索などにまで関わっていくことも時には必要とされ、その意味では守備範囲はさらに広まります。またただ広範囲なだけでなく、例えば血液透析患者さん、糖尿病患者さん、ステロイドを使用中の膠原病患者さんなど、時間的にも長期にわたってお付き合いしていく患者さんが多く存在し、これら患者さんとの長いお付き合いということになれば、その経過の中では心筋梗塞、間質性肺炎、感染症、大腸癌などなど、もとが広範囲な中さらに私たちの専門分野も越えて問題の範囲が広がる事態も生じ、ここでも主治医・かかりつけ医としての総合力が試されます。

このような環境で第3内科に育つ医師たちは、スペシャリストでありながらポリバレントなジェネラリストとしても精進し、両者が融合された新しい「ジェネシャリスト」たちになっていくのです。スペシャリスト・ジェネラリストどちらに進むべきかといった不毛な究極の選択はやめにしてぜひ第3内科でどちらも目指してみませんか?

研修スケジュール
~大学院進学コースと臨床重点コース~

入局後の研修スケジュールとしてはおおまかに大学院へ進学するコースと臨床に重点をおいたコースに大別されると思います。コースの選択は皆さんそれぞれの描くキャリアプランと密接に関連する部分でもあり、詳細は教授や医局長と相談の上、各人ごとにカスタマイズされ決定されます。コースの概要は下記のとおりですが、後記研修開始後まず大学病院で1年間研修を行うことは共通事項です。また専門医取得に関しては取得スピードはどちらも違いはなく、しっかり研修を行い、なるべく最短で取得することを奨励しています。

また2018年度からは専門医研修が改変され、いわゆる新内科専門医研修制度が開始される予定です。山梨大学医学部では、内科系講座が合同で「山梨大学内科専門研修プログラム」という統一プログラムを作成し、どの内科系講座に入局した方も、この合同プログラムにのっとって研修を進め、3年間の研修プログラム修了後に内科専門医を取得することになります。そして内科専門医取得後にサブスペシャルティ研修を行いサブスペシャルティの専門医資格を取得していくことになります。

教育システム

第3内科での具体的な教育システムの一端をここではご紹介したいと思います。

【OJT(On the Job Training)】
通常の病棟での診療活動です。第3内科では下記のように糖尿病・内分泌グループで2チーム、腎・膠原病グループで2チームの計4チームで日々の病棟診療を行っており、後期研修医はいずれかに配属されて診療を行います。チームは各サブスペシャリティの指導医・専門医であるスタッフ医師をチームリーダー(主治医)として、後期研修医がその下に、さらにその下に初期研修医、そしてさらに臨床実習中の学生が配属されている、いわゆる屋根瓦方式のチーム編成です。後期研修医はスタッフ医師と治療方針をディスカッションしながら最終的な方針を決定していくとともに、初期研修医や学生への教育も求められており、まさにチームの要として活躍しています。研修内容に偏りが生じないよう3か月間を1クールとして各チームをローテーションしていきます。
【医局カンファレンス】

毎週木曜の午前中いっぱいかけて全症例のカンファレンスが行われます。担当チームが担当症例のプレゼンテーションを行った上で、聴衆のメンバーが担当チームにフィードバックを行い、そのチームの診療の質の向上に役立ててもらいます。このカンファレンスは皆が知恵を出し合うことで実際に診療を行っている担当チームを応援し援護射撃するという実務的側面と、その出された知恵を担当チーム以外の初期研修医や学生さん含めたメンバー全員がシェアして今後に生かすという教育的側面の両方が期待されている場です。できていないことなどを非難され担当チームがネガティブな気持ちとなるのではなく、応援し勇気づけ、知恵を授け、担当チームが症例を提示してよかったというポジティブな気持ちとなるようなカンファレンスを目指しています。また聴衆メンバーにとってもどんどん発言したくなって、さらにいろんな英知を吸収できて、やはり参加してよかったと思えるカンファレンスになれたらと考えています。

【Ynery】(basic lecture for Young Nephrologist Endocrinologist Rheumatologist in Yamanashi university)

若手3-4年目の先生たちが腎、糖尿病・内分泌、膠原病の各分野の基礎的知識を年間を通じて体系的網羅的に身に着けることをめざして始まりました。山梨で育つ若手医師の芳醇な熟成を目指す場をイメージしてワイナリーと名付けています。またローテート中の学生さんや初期研修医の教育の場ともなっています。単純な座学で講義を聞く形式は教育効果も低いため、参加する若手の先生自体が持ち回りで講師役となってレクチャーが行われます。上級医は、当日までは講師役の先生の事前資料作成のアドバイスをしたり、当日は議論や学びの深化を意図したファシリテーターとしての役割を担ったりという形で関わっています。

【学会発表・論文投稿】

専門研修を行う上で身内の第3内科の先輩医師よりフィードバックを受けそれを成長の糧とすることはとても大事なことです。ただ同時に、自組織だけでなく他組織に属する専門家からフィードバックを受けることもとても大事なことです。学会で積極的に発表を行い、自身が行ってきたことに対して、他組織の先生方からもフィードバックをいただく経験をつんでもらいたいと考えています。

また医学の発展は医師ひとりひとりの経験や知識が医学論文として後世に伝えられていくその積み重ねによって支えられています。その営みに参加することはある意味専門家としての責務の一つなのかもしれません。まずは症例報告から、珍しく複雑な症例に医師として逡巡しながらも取り組んだその経験を論文化することで発信し、世界のどこかで同じ悩みを抱えているかもしれない医師とその経験をシェアし、その医師たちにすこしでも役立ててもらえるのであれば、それはとても価値のある尊い行為だと思います。

2015 ヨーロッパ腎臓透析移植学会にて
【初期研修医&学生への教育】

医学教育において「See one , Do one , Teach one」という格言があることは皆さんご存知でしょうか?「まずは先代を見て学び、その後自分でやってみる中で学び、最終的に次代に伝えていく中でまた学ぶ」という知識・技能の習得過程のことです。ある知識・技能の習得において、しっかりと後進の指導を行えることは、その最終段階においては必須なものとみなされています。またこの事は視点を変えれば、脈々と続く医師たちの先代から次代への知識・技能のバトンの受け渡しにより、今の医学・医療は形づくられているとも捉えられます。「自らの医師としての知識・技能の習得」という意味合いでも、「医学に身をおいたものとして脈々と受け継がれてきた知識・技能を漏らさず次代に継承していく」という意味合いでも、後進の医師たちへの教育は非常に重要な営みです。それは卒後3-5年の後期研修医で若手と呼ばれていても、さらに若く後に続く人々がいる以上、求められる資質です。
私たちは2015年度より初期研修医や医学生に対しての教育システムを改変し、改変後は世代の近い後期研修医のメンバー達にその教育システムの中心を担ってもらっています。「5年生~6年生~初期研修医と連綿と続いて来てくれている若い人々に、第3内科は何を伝え何を授けてあげられるのだろうか?」「その伝えたい核心をそれぞれの年代別にぶれない一貫したシームレスな形として授けられるシステムとはいったいどういう形なのか?」などを若手の中心メンバーがアツくディスカッションしながら少しずつ今のシステムを構築してきてくれています。手前味噌かもしれませんが、初期研修医の先生や学生さんの感想でも「大変さは増えたけれども面白いしやりがいがある」という評価を頂けるようになってきたと思っています。私たちはさらにより良いものをめざし改変を進めていくつもりです。ぜひこの部分でも皆さんの若い力を貸してもらいたいと思っています。

後期研修医と6年生で行われる教育回診
後期研修医・初期研修医・学生による
病棟でのディスカッション

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